ビジネス情報の「鮮度」と「立体化」

三井物産株式会社 人事部国際人事室
定森幸生氏

 ビジネスの世界では「情報の鮮度」が命です。世界中のビジネスパーソンが注目する WSJ 紙の毎朝のフロントページを教材に使った Business English Pro は、受講者のみなさんにとって、英語を手段として世界のビジネスのプロと同じ情報を同じ時間軸で共有できるユニークなプログラムです。 Encyclopedia や言語学の古典文献では接することの出来ない世界中の人々の最新の活動の実態に、英語を媒体として接することができます。

 また、ビジネスの現場では「情報の立体化」が必要です。例えば、「為替レートが円高に振れた」という情報に接したとき、そのニュースを単なる為替相場の数値の変化というように平面的に認識するのではなく、その主な要因が、景気指標の影響によるものか、日米政府の金融・通貨政策によるものか、株式・債券相場の影響、貿易摩擦問題、政治家・政府高官の発言、あるいは戦争や国際紛争などの影響なのかを検証し、さらには、その為替相場が一過性のものなのか、今のトレンドが暫く継続するものなのかについて自分なりに予測するために、関連情報をいくつも“立体的に”組み立てて多方面から判断することがビジネス活動の当事者には欠かせません。そうすることによって、自分の仕事上の選択肢が広がり、より適切で責任をもってとるべきアクションを決断することが容易になるからです。

 その意味から、ビジネスの現場で役に立つ「ビジネス英語」を身につけようとする受講者の皆さんにとって、「話す」「書く」という能動的なスキルの習得はもちろん、一般には受け身のスキルと考えられている「読む」「聴く」という二つのスキルを、「能動的に読む力」「能動的に聴く力」にアップグレードすることが不可欠です。「能動的に読む、聴く」というのは、情報の背景について関連情報も考慮に入れながら、発信者の意図やスタンスを理解し共感しながら、できる限り後に続くセンテンスを予想しながら読んだり、聴いたりするという意味です。日本語であれば、プロのビジネスパーソンなら無意識のうちに、そのような“ active reading ” や“ attentive listening ”を実践しているはずです。そうすることによって、「読みながら自分のコメントや質問の内容を頭の中でまとめる余裕」ができますから、タイムリーに効果的な反応をすることができます。

 理解度テストを受ける際も、学校の英語の試験のように完全な受け身ではなく、記事を読んだあと「中心となるメッセージは何か」「それと対立する意見にはそのようなものがあるか」「記事の中で特に情報価値の高いキーワードはどれとどれか」などについて、自分のこれまでの経験や知識を総動員して頭の中を一旦整理してから設問を読んでください。また、解答の選択肢を読む前には、一旦目を閉じてあらかじめ頭の中で正解(に近いことがら)を考えてから選択肢に目を通すようにすると、テストに能動的に反応することができます。 受講者の皆さんの中には、実際のビジネス活動、それも国際ビジネス活動との関わりが少ない方もおられるでしょう。それであれば、この講座を受けるのを機会に、できるだけ時間をみつけて教材のコンテンツに関する関連情報を、 WSJ はもちろん世界中の website コンテンツを「能動的に」読む習慣をつけてください。そうすることによって、 Business English Pro のプログラムを受講者の皆さん自身の手で「立体化」することができるのです。

略歴
神戸市出身。1973年慶応義塾大学経済学部卒業、同年三井物産(株)入社。1977年マギル大学(カナダ・モントリオール)大学院経営修士(MBA)取得以降、米国三井物産ニューヨーク本店人事課長代理、三井物産(株)東京本店人事部能力開発室課長等を経て、現在、物産サービス(株)研修事業部主席兼三井物産(株)人事部国際人事室マネジャー。1990~92年文部省学術国際局の委嘱による留学生政策に関する調査研究協力者会議専門委員。1998~2001年マギル大学大学院経営修士課程(MBA)非常勤講師(人事管理講座担当)。著作物に「現地社員活用の手引」(日経文庫)「国際人的資源管理の基礎知識」(産能大学)「これからの海外人事戦略と要員管理の実務」(労務時報連載)など多数。